心地よい春風の季節は過ぎ、空気は湿り気を帯びて梅雨の訪れを予感する気候になりました。
寒暖の差が激しかったり、じめじめとした空気がたちこめたりと、気分良く過ごすのが難しいこの時期、体調を崩してしまう方も多いのではないでしょうか。
今回の漢方コラムでは、「おなか」の症状にスポットを当ててみたいと思います。
1)お腹をこわしてしまった、お腹が張って苦しい
「桂枝加芍薬大黄湯(けいしかしゃくやくだいおうとう)」は、急性腸炎で下痢をしたり、お腹が張って痛かったりする場合に、効果が期待できます。また、宿便を出してしまいたいとき、お腹がしぶるときにも役立ちます。
2)お腹が冷えて痛いとき
「大建中湯(だいけんちゅうとう)」は、手足やお腹が冷え、腹痛や腹部膨満感があるときに効果が期待できます。梅雨時には、とても暑かった翌日に期せずして涼しくなり、衣服の調節がうまくいかず、お腹を冷やしてしまうことがあるものです。そんな時に役立つ漢方です。
3)気分が落ち込み吐き気やめまい、みぞおちの重苦しさがある
「茯苓飲合半夏厚朴湯(ぶくりょういんごうはんげこうぼくとう)」は、気分がふさいで喉や食道に違和感があるときに効果が期待できます。天気の悪い日が続くと、心の健康も損なわれることがあるものです。心が晴れお腹の調子もすっきりとさせてくれる漢方です。
4)更年期の症状と便秘が重なる
「防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)」は、動悸やのぼせ、むくみなど更年期の症状に便秘が加わった場合に効果が期待できます。最近の民間の調査では、更年期の症状が最も出やすいのがこの梅雨時だと示されていました。血圧が高めで、少し脂肪太り気味。肩こりもあるような方には効果的な漢方です。
これらのほかにも、お腹の症状に効く漢方はたくさんあります。また、梅雨に悪化しがちな更年期障害や便秘も漢方の得意分野です。
一人一人の体質に合わせ、数多ある漢方の中からあなたにぴったりの漢方を探してみませんか。
どうぞお気軽にご相談ください。
武川病院
加藤 淳也